不動産に関する難題を解決
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空き家事例2「固定資産税が6倍に!?特定空き家の恐怖」

  • 空き家対策
Writer:大澤 健司

相談内容

今回の相談者は50代の女性Aさん。東北にある元実家、現在空き家の物件についてのご相談でした。15年ほど前、父が亡くなり空き家となった実家をAさんと、姉のBさんの共有で相続しました。Aさんは関東在住ですが、Bさんは実家の隣町に住まわれていたため、Aさんが毎年の固定資産税を支払う代わりに、Bさんに管理をお願いしていました。

しかし昨年、姉のBさん家族も引っ越すことになりました。管理が難しくなるということで、地元の不動産業者に売却の話を持っていったところ、建物がかなり古いため、解体しないと売却できないということでした。そこで解体の見積もりをとったところ、建物が大きく、かつ前面道路が狭く重機が入れないという事で高額な解体見積もりとなりました。そこまで費用をかけて解体しても、それ以上の値段で売れる可能性は少なく、赤字になってしまいます。

姉のBさんから話を聞いたAさんは、どうしようかと悩んでいたところ、知人から弊社を紹介されたということでご相談に来られたのでした。

古家

ご提案

ご相談を受け、実家の周辺の不動産取引事例の調査を行ったところ、私たちの査定でも、解体して土地を売ると赤字になるという結果でした。しかし、かといって建物の再利用が可能かと言われると、難しいものがありました。ここまで来てしまうと、取れる行動は大きく分けて二つだけです。赤字覚悟で処分するか、放置しておくか・・・。ここで強調して言っておきます。空き家問題は、放置して状況が良くなることなどまずありません。それどころか、時間の経過とともに状況は悪化していきます。

2015年、空き家対策特別措置法が全面施行されました。それにより、自治体は適正に管理されていない空き家を「特定空家」に指定することができるようになりました。自治体は特定空家の所有者に対し改善勧告を行うとともに、改善されるまで税制上の優遇措置の対象から除外してしまいます。本来、居住用の建物が立っている土地の固定資産税や都市計画税は、更地に対する税よりも安くなっています。その優遇措置がなくなると、更地と同等の税金がかかるようになります。その差はなんと最大6倍!

放置しておくリスクは、税金が高くなるだけではありません。建物が壊れて誰かを怪我させてしまったり、火事を起こしてしまったり・・・様々な賠償リスクも生じます。もし運良くそういったトラブルが発生しなくとも、自治体の是正勧告を無視していると、最終的には自治体は行政代執行を行います。つまり自治体が所有者に代わって空き家を解体し、かかった費用は所有者に請求することになります。結局、赤字になってしまうのは変わらず、それどころか赤字額が大きくなってしまいます。

こういった状況を説明し、赤字でも解体をお勧めした私たち。それを聞いたAさんは、お姉さんと相談され、結局解体を行うことにしました。決断に至った背景には、自分たちが赤字を嫌がってもし将来、子供たちに負担をかけてしまっては申し訳ないという気持ちがあったと後にAさんは話してくれました。

一昔前、不動産は持っているだけで値上がりする資産でした。しかし現在は、ただ所有しているだけで値下がりするどころか負担を増やしていく、『負動産』すら現れています。時には赤字を許容し、早めに処分を行う決断も必要だと思います。

住宅用地の税軽減

大澤 健司 株式会社K-コンサルティング 代表取締役

大澤 健司株式会社K-コンサルティング 代表取締役

不動産業界で、総合不動産コンサルティングをはじめとしたさまざまな行に従事する。

2016年、不動産相続と賃貸経営に特化したコンサルタントとして独立し、株式会社K-コンサルティングを設立。

不動産に関するセミナーや勉強会を精力的に行っている。

  • 公認 不動産コンサルティングマスター
  • 相続対策専門士
  • 不動産有効活用専門士
  • ファイナンシャルプランニング技能士 2級
  • NPO法人 相続アドバイザー協議会 上級アドバイザー
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 宅地建物取引士
  • 空き家相談士
  • (借地低地アドバイザー・定借プランナー・ビル経営管理業務主任者・賃金行取扱業務主任者 など)

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